ごあいさつ

事業推進責任者からのメッセージ
長崎大学理事・副学長
(本部委員会委員長) 星野 由雅
(平成28年10月〜平成29年3月)
長崎大学理事・副学長 星野 由雅(本部委員会委員長)
 平成24年度に文部科学省の「大学間連携共同教育推進事業」の1つとして選定されました「多職種協働による在宅がん医療・緩和ケアを担う専門人材育成拠点」の取組は、平成28年度で最終年度を迎えました。長崎県内の国公私立の3つの大学の8学部、県内4つの自治体および12の職能団体・1法人が連携・一体となってコンソーシアムを形成し、本取組を推進してまいりました。最終年度の事業報告を行うにあたり、本取組に寄せられました多くの関係者のご協力・ご支援に、まずもって深く感謝申し上げます。
 本取組の特徴は、超高齢社会を迎えた日本において、特に地方において在宅医療のニーズが益々高まることは疑う余地はありませんが、その中でも近年目覚しい医学・薬学分野の成果により生存率が高まっている、がんに特化した在宅医療・緩和ケアを担う専門人材の育成を掲げた点にあります。本取組では、医療・保健・福祉・介護等の学科を専攻している学生を対象に3つの大学が連携・協働して関連諸団体の協力を得ながら、講義・演習・実習科目からなる教育プログラムを開発してまいりました。教育プログラムの特徴として、在宅がん医療・緩和ケアの実習を他大学の他学科・専攻の学生とグループを組んで取組み、将来の在宅チーム医療体制構築の礎を築いていることにあります。開発した授業科目は、県内10大学・短期大学と1高専からなるコンソーシアム長崎が運営する単位互換プログラム「NICEキャンパス長崎」にコーディネート科目として提供され、本取組への参加大学の学生だけでなく、他大学の学生および一般の方にも受講をいただけるように図ってまいりました。また、補助金交付期間終了後の平成29年度以降の取組継続を見据えて、開発した科目のWEB講座への展開並びに授業科目の精選統合も行ってまいりました。これらの成果をまとめました本報告書をお読みいただいた皆様から、本取組に対する忌憚のないご意見をいただければ幸いです。本取組は、平成29年度以降、新たに1法人を加えた在宅医療・福祉コンソーシアム長崎の下で、継続してまいります。今後も、大学関係者を始め関係諸団体の皆様からのご理解とご支援をよろしくお願い申し上げます。

長崎大学理事・副学長
(本部委員会委員長) 松坂 誠應
(平成26年10月〜平成28年9月)
長崎大学理事・副学長 松坂 誠應(本部委員会委員長)
 科学技術の発展、特に生命科学領域での進歩は目覚ましく、平均余命の延長に大きく貢献していると言われています。これまで長期の入院加療が必要だった「がん」治療も、新たな手術方法、副作用の少ない抗がん剤、在宅でも使用できる鎮痛剤などの開発で、早期の在宅復帰が可能になりました。患者本人への告知も一般的になり、医療者と協力することで治療効果も向上したと言われています。
 しかし、少なくなったとはいえ、依然、抗がん剤には副作用が認められ、再発の可能性はゼロではありません。優れた鎮痛剤でも心理的・霊的・社会的要因が関与した「がん」性疼痛には効果は乏しいと言われています。早期に在宅復帰が出来るようになったために、日常的に相談できる医療者が患者・家族の身近におらず、その結果、彼らのQOLが低下するという逆説的な現象が起こっています。その大きな原因は、在宅がん患者・家族のニーズに応えることが出来る医療者や、がん治療を正しく理解した福祉・介護スタッフが非常に少ないことです。
 在宅がん患者が抱える問題として、①再発と迫り来る死の恐怖、②副作用との戦い、③痛みへの恐れ、④自分らしい生活の喪失、⑤残される家族への思いなどが挙げられます。さらに、これらの問題は互いに影響し合って複雑な問題を引き起こしています。これらの問題に一人の医療者、一つの職種で対応できるはずもなく、高度なトレーニングを受けたチームでのアプローチが必要です。
 以上のような状況を踏まえ、教育プログラムの開発を進め、各分野の専門職による講義と多職種チームでの演習と実習を行ってきました。その成果をご報告いたします。これも、コンソーシアムに参加して頂いている関係機関・団体のご支援・ご指導の賜物です。特に、体験学習にご協力を頂いた訪問先の療養者やご家族の方々、現場の専門職の方々に心からお礼申し上げます。

はじめに
長崎大学理事・副学長 調 漸(取組責任者・本部委員会委員長) 長崎大学理事・副学長
調 漸 (本部委員会委員長)
(平成24年4月〜平成26年9月)
 長崎県に於いて、文部科学省GPとして「在宅医療と福祉に重点化した薬学と看護学の統合教育とチーム医療総合職養成の拠点形成」事業が長崎県立大学・長崎国際大学と本学の参画で成功裏に行われたことは記憶に新しい。
 今回、この事業の発展型として「多職種協働による在宅がん医療・緩和ケアを担う専門人材育成拠点」が企画された。先の取り組みは、薬学と看護学の協働・共修を追求したことで、極めて新鮮であり、魅力的であった。その発
展型として産声をあげた本事業は、4自治体・12職能団体が結集して作り上げる協働・共修である。
 人は病むと医療現場で「患者」と呼ばれ、疾病を抱えて生活に戻ると福祉の現場で「利用者」や「クライアント」と呼ばれる。そこには異なる理論や経験に育まれ、異なる視点と技術でこれらの人々に関わる専門職達がいる。様々
な分野の学生達がこのプロジェクトを通して異なるプロフェッショナル達と交流を深め、病める人達のために更なる学びの高みを目指すことを望みます。

ごあいさつ(代表校・連携校学長)

長崎大学長 片峰茂
 長崎大学が長崎県立大学、長崎国際大学と連携して申請致した「多職種協働による在宅がん医療・緩和ケアを担う専門人材育成拠点」が、平成24年度「大学間連携共同教育推進事業」に採択されました。この事業は、文部科学省が、国公私立の設置形態を超え、地域や分野に応じて大学間が相互に連携し、社会の要請に応える共同の教育・質保証システムの構築を行う特色・個性ある優れた大学教育改革の取組を選定し、財政的な支援を行うものです。
 私たちの採択課題は、昨年度まで3年間実施した、文部科学省戦略GP「在宅医療と福祉に重点化した薬学と看護学の統合教育とチーム医療総合職養成の拠点形成」事業の進化型プログラムとして構想したものであり、最大の特色は、在宅がん医療・緩和ケアに特化した多職種協働人材の育成プログラムである点です。
 地域包括ケアの体制の中で在宅がん患者を支える仕組みは、従来の入院ケアの場合とは大きく異なります。そのため、在宅がん患者の療養支援を担う人材育成には、地域包括ケア体制の中で、医療と福祉の専門職によるきめ細やかな人材育成支援が行える拠点を、整備することが必要となります。
 そこで、これまでに築き上げた薬学・看護学の統合教育体制に医学・歯学等の教育者を加えた大学間連携教育体制の規模の拡大を図るとともに、県内の4つの自治体及び医師会等の12の専門職能団体と「在宅医療・福祉コンソーシアム長崎」を新たに組織しました。そのことにより、地域の大学と自治体・専門職能団体が一体となり、課題の共有化と取組の一体化を図りながら在宅がん医療・緩和ケアに特化した多職種協働人材を育成することが可能になります。
 具体的には、多職種協働に視点を置いた在宅医療・がん医療・緩和ケアの教育を大学間単位互換の合同授業・合同実習として行い、最新の知見に基づいた高品質な専門職教育を異なる大学の学生に対して均一に提供することで、大学間連携教育の実質化と質保証を図るとともに、大学と地域の連携に基づく協働教育を推進します。
 本連携事業の成果が、医療と福祉の専門職による在宅がん医療・緩和ケアの協働支援体制整備につながり、長崎県全般の在宅医療環境の強化に大きく貢献することを念願しています。今後とも「在宅医療・福祉コンソーシアム長崎」の活動に対するご理解とご支援を宜しくお願い申し上げます。

長崎県立大学長 太田博道
 本学が、多職種協働による在宅がん医療・緩和ケアを担う専門人材育成拠点「在宅医療・福祉コンソーシアム長崎」の一翼を担うことができることは大変名誉なことであり、また喜ばしいことであります。
 少子高齢化が進む日本の中でも、長崎県はその傾向が目立つ地域であります。このような地域で、産業の活性化、若年層の雇用の確保が極めて重要な課題であることは論を待ちませんが、老齢者の在宅がん医療・緩和ケアもまた一方の喫緊の課題であります。医療関係の多くの団体、行政と大学が手を組んで人材育成に取り組むことは、大きな力になることと思います。このような取り組みの成果を全国に発信することは、少子高齢化が進む本県が担うべき役割と言えるかもしれません。さらに広く、成熟段階に達している先進諸外国へも有効なモデルを提供していけるものと思います。
 大学の最も大きな役割は、言うまでもなく人材育成です。しかし、人材育成はキャンパス内で完結することではありません。学生にとっては教室で講義を聴くだけでは不十分で、他大学の学生と議論することは大いに刺激になることです。また、インターンシップの要素を含む現場での実習や演習で、その路の先輩の指導を受けることも実践的で極めて重要な糧になることと思います。したがって、このようなコンソーシアムに参加し、様々な場面に遭遇することは教育的観点からみても大きな果実を実らせることとなるでしょう。
 本学からは、情報学の領域の教員も参加しています。医療機関と空間的に離れたスポットである「在宅」での看護・ケアという課題を克服するためには、ITの活用は力強い要素技術になると考えられます。新しいアイディアがこの分野で発芽することを期待したいと思います。

長崎国際大学長 安倍直樹
 我が国は未曽有の超高齢化社会を迎えようとしています。それに伴い、がん患者が急増し、それを支える医療システムの見直しが求められています。がん患者に適切な医療と介護を提供し、家族をはじめとする介護者の負担と医療費の軽減を図る方策の一つとして、地域社会における医療と介護の連携と協働のネットワークシステムの構築が急務であるといわれています。加えて、大学に対しては、このようなシステムを機能させうるリーダーとなる人材養成教育が求められています。
 このような社会的背景のもと、本プロジェクト「多職種協働による在宅がん医療・緩和ケアを担う専門人材育成拠点」が、平成24年度大学間連携共同教育推進事業で選定されました。本プロジェクトは、多職種協働による在宅がん医療・緩和ケアを担う専門人材育成を目的とするものであります。具体的には、学習アウトカム重視の見地から立案する順次性のあるカリキュラムに基づき在宅医療・がん医療・緩和ケアの教育を大学間合同授業・合同実習として実践し、多職種協働の理解を深めるとともに大学間連携教育の実質化と質保証を図るものであると理解しております。本事業推進のため、長崎県内の国公私立3大学の長所である薬看統合教育体制に医学・歯学等が加わる協働教育体制の下、3大学8学部が県内の4自治体・12職能団体と連携する「在宅医療・福祉コンソーシアム長崎」が組織されました。
 長崎国際大学では、今回の「在宅医療・福祉コンソーシアム長崎」には、薬学部、健康管理学部、人間社会学部3学部が、それぞれの特徴を生かした事業参画を行う予定であります。薬学、栄養学における連携校との協働はもとより、他の連携校にはない福祉学、観光学の観点からも本教育カリキュラム作りに貢献できるのではないかと考えております。例えば、在宅や緩和医療における"癒し"、"楽しみ"などの観点では福祉・観光学の切り口も有効ではないかと考えているところです。
 本事業は大学と地域の連携に基づく協働教育により当該地域の中での循環型人材育成体制の確立を目指す取組でもあり、在宅がん医療・緩和ケア分野を支える人材育成につながり地域医療に貢献できるものと考えています。今後立ち上げられる新規性のあるカリキュラムを習得し多職種協働の精神を身に着けた学生諸君が、卒業後自らの専門分野を活かし地域医療の場で活躍してくれることを心から願う次第です。本事業の活動に対するご理解とご支援を今後ともよろしくお願い申し上げます。